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一期一会を楽しむ。

「うつわ」を中心とした工藝品のお店「STOCK」。

「民衆的工芸」の略である「民藝」とは、昭和初期に活躍した思想家の柳宗悦(やなぎ むねよし)とその仲間達によって作られた言葉です。当時の国が定めた「美の基準」において制度化された工藝観に対して、日常の中で使われる雑器、生活道具の中にこそ真の美しさがあるという、全く新しい「美の基準」を提唱しました。失われゆく、暮らしの中から生まれた「手仕事」の文化を世に広く紹介する活動に、柳とその仲間達は尽力したのです。

今回はそんな民藝の考えに影響を受けつつ、「うつわ」を中心とした工藝品を専門的に取り扱うお店「STOCK」さんをご紹介しますので、是非ご覧くださいませ。

夫婦で営む工藝品のお店。







京都・JR「円町駅」から徒歩8分ほどの住宅街にひっそりと佇む「STOCK」は、古民家をリノベーションした店内で全国各地から仕入れてきた工藝品を取り扱うお店です。お話を聞かせて下さったオーナーである佐藤史章(ふみあき)さんと、奥様の真由美(まゆみ)さんがご夫妻で営まれています。

元々は東京で同じインテリアショップに勤めていたお二人ですが、震災を機に史章さんが大学時代を過ごした京都に移住してきました。輸入家具やプロダクトものの雑貨にも興味はありましたが、もっと自分たちの暮らしや生活に近い手仕事のものを取り扱っていきたいということで、2016年に晴れてご夫婦の夢でもあった暮らしに寄り添うものたちのお店をオープンさせることとなったのです。



店名である「STOCK」には在庫品や蓄えという意味の他に、「(木の)幹」という意味があります。
ここを健康な幹とし、たくさんの皆様と出会い成長し枝葉を広げ、10年20年と繁らせていく事ができれば…というご夫婦の想いが込められています。





古民家ならではの趣深い土壁や坪庭は残しつつ傷んだ部分等を修繕・リフォームされた店内は、商品や作品たちの雰囲気とマッチした居心地の良い空間になっています。

作品だけでなく、その人となりへの感銘を大切に。







店内には、ご夫婦が全国各地の窯元や作家さんを訪ねて仕入れてきたうつわや陶器、ガラス作品等が丁寧に並べられています。取り扱い作家数は20~25人に及びますが、すべてご夫婦が自宅で1.2年ほど愛用した後に直接作家さんに会いに行き、是非紹介したい!と思ったものだけを取り揃えているというのですから、驚きです。

そこには自分たちがいいと思ったものを自信をもっておすすめしたいというこだわりと、史章さんが工藝品に心惹かれるきっかけとなった河井寛次郎氏の存在が大きく影響しています。

河井寛次郎は大正から昭和にかけて活躍した陶芸家で、柳宗悦と共に「民藝運動」に深く関わったことでも知られており、陶芸作品の他にも多くの詩や名言、文章を残しています。
「暮しが仕事 仕事が暮し」や「仕事のうた」に代表される河井寛次郎の言葉には、仕事や生き方に対する姿勢を表した言葉がたくさんあります。そのすべてから感じ取れるのが、仕事とは自分自身や暮らしと一体化してこそであり、それこそが本当の仕事である、という自分の生業に向き合う真摯な姿勢です。
その姿勢や河井寛次郎の人柄はそのまま作品に表れており、また逆も然りで、作品からもその背景を見てとることができると感じた史章さんは、これまで何となくいいな、と思って使っていた工藝品の素晴らしさを再認識し、優れた作品だからだけではなく、人柄として尊敬できる人たちと仕事がしたい!と強く思うに至ったのです。





こちらは沖縄の伝統的な工芸品で、「やむちん」と呼ばれる焼き物です。
「やむちん」は、絵付けの鮮やかさとダイナミックで個性的なデザインが特徴で、海や植物を連想させるコバルトブルーや緑、またそれと対比するカラーとしてあめ色(茶色)が多く使用されています。
こんなお皿が一枚食卓を彩るだけで、いつものご飯がより一層美味しく感じられそうですよね。







「日常生活に寄り添うもの」がコンセプトなだけあって、価格帯的にリーズナブルなラインナップが主体となっています。
作家さんが丁寧に作り上げた作品が、手に入れやすく、かつ毎日気兼ねなく愛用できるというのは嬉しいですよね。



什器として使用されているアンティーク家具はご夫婦の趣味で揃えられたもの。ディスプレイとしてお店の空間演出にも力を発揮しています。

ひとつとして同じものはないからこその魅力。



史章さん曰く、「工藝品は、露地栽培で育てる野菜たちに似ている」。
露地栽培は、ビニールハウス等を使わず、その作物が本来育つ季節に合わせて、自然に近い状況のもと育てる栽培方法のこと。そのため、季節や土壌によってできる作物は変ってくるし、同じ作物でもまったく同じできあがりにはなりません。
去年買った大きな大根が今年も欲しい!と思っても、今年は同じようにはできておらず、でも、その代わり今年は立派な白菜が収穫できたので、是非食べてみてください!という具合です。

工藝品も、1点1点丁寧に手作りしている分いつも同じものができあがるとは限りません。産地によって土や水、気候が違うため、できる作品も変ってきます。作品との出逢いは一期一会の喜びがあり、だからこそ自分がこれだ!と思える作品に出逢えた時の感動も大きくなるのです。

そんな工藝品の良さを楽しんでもらうためにも、「STOCK」では作家の個展等のイベント開催をほとんど行いません。これは、特別な日を設けることで来客が集中してしまうよりも、いつ来てもらってもじっくりゆっくり作品を選び、一期一会を楽しんでもらえる環境にしたいからなのです。

夢は「永く続けていけること」と語る史章さん。店名に込めた想いのように、ここに集うお客様たちと一緒に10年20年とじっくりゆっくり、「STOCK」という木を繁らせていけることを願っています。




いかがでしたか?
1点物が多かったり複数あっても全く同じものは2つとないため、WEBSHOPでは同じ作品でもわざわざ1点ずつ分けて掲載されています。この細やかな心配りも、多くのお客様から支持される所以なのでしょう。一期一会の出逢いが待っているかもしれません。是非一度チェックしてみてくださいね♪

<STOCK>
〒 603-8333
京都府京都市北区大将軍東鷹司町163
TEL:075-406-0012
【営業時間】
13:00-18:00
定休日:火・水・木
※感染拡大防止のため、現在上記日時にて変則営業中。

▶HP
https://www.stock-kyoto.com/

▶Instagram
https://www.instagram.com/stock_kyoto/

▶facebook
https://www.facebook.com/stockkyoto


 

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