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百人百色 -不安定こそおもしろい-

アトリエ・山林舎 野田貴之さん

皆さんは時間を忘れてしまうほど何かに熱中した経験はありますか?
寝る暇も惜しいと思えるくらい、何か夢中になれるものに出会うことは、人生において大きな財産になるのではないかと思います。
人は自分1人の人生しか経験することはできませんが、いろいろな人の人生を知ることで、疑似体験をしたり、自分の人生だけでは触れられなかった価値観を知ることができたりしますよね。
『百人百色』は、さまざまな人生を歩まれている方々にお話を伺う連載です。
今回は、ログハウスでのペンション経営を夢見て、ログハウス建築に関わり28年。アトリエ・山林舎の野田貴之さんに、人生の転機となった出来事や、大切にされている価値観についてお話を伺いました。

アトリエ・山林舎

野田さんが経営するアトリエ・山林舎は、ログハウスの新築やメンテナンス、小屋建築、薪ストーブの販売などを行っておられる工務店。
プランニングから現場監理、お引渡しまでのほとんどを野田さんが担当をされており、昔の工務店の親方的なスタイルでログハウス建築を専門にしたお仕事をされています。 最近はウッドショック(木材の価格上昇)の影響もあり、大きな建物の建築は控えて、小屋の建築や薪ストーブの販売に力を入れられているそうです。





今回取材で伺ったのは、野田さんが建築されている滋賀県大津市にある小屋。
周りには小川が流れ、緑豊かな風景が広がるなか、素敵な小屋が建っていました。





小屋の中にお邪魔すると、中には野田さんのお気に入りの本たちや大きな薪ストーブがどっしりと佇む、まるで秘密基地のようにわくわくする空間が。
こちらで、野田さんの人生の転機となった出来事や、大切にされている価値観についてお話を伺いました。

きっかけは、ログハウスでのペンション経営を夢見て

あまり聞きなれないログビルダー(ログハウスを建てる人)というお仕事。
野田さんに、ログビルダーを目指されることとなったきっかけを伺いました。



「10代の頃、京都のペンションでラウンジのスタッフとしてアルバイトをしていたんです。世界中や日本全国から泊りに来られるお客さんへの接客の仕事が楽しく、ペンション経営に興味を持つようになりました。そして、昔から自分で物を作ることも好きだったんですが、あるとき本屋さんで立ち読みしていたら『夢の丸太小屋』というログハウス作りの本に出会ったんです。その本を読んで、ログハウスでペンションができたら最高だなーと、夢見るようになりました」





「まずは、自分でログハウスを建てられるようになるために、ログハウス業界で働こうと思いました。僕は、ログビルダー(ログハウスを建てる人)志望だったんですけど、その当時ログビルダーとして生計をたてている人は日本に10人くらい。そこで食べていけるような業界ではないとわかりつつも、ログハウスメーカーに行き『ここで働かせてください!』と、門をたたきましたが、やはり何度も断られました。『職人になりたいなら大工になったほうがいい。でも、大工になったところで、ログハウスの仕事があるかどうかは難しいよ』と助言をもらったこともありました」



「なかなか就職が上手くいかず周りの友人や先輩に相談すると、『そこで修行するだけでなくて、土地とペンションを建てるための資金が無いと難しいだろう』と言われ、安定とお金のために生命保険会社に入ったこともありました。自分の肌に合わないなと思っていた頃、阪神淡路大震災が起こって、今まで断られていたログハウスメーカーから営業マンとして入らないかと声をかけてもらえたんです。その業界に関われるなら職種は何でもいいやと思い、転職を決意しました。」







「そこは輸入住宅とログハウスを販売する会社でした。どちらの建物も好きだったので、頑張って働きました。でも、営業マンとして契約をいただく中で、お施主さんと約束したことと、出来上がる仕様が違うことがたまにあって。僕は約束を守れない人と思われたくなかったので、現場をちゃんとお客さんに引き渡すために、現場監督もするようになりました。もともとログビルダー志望ということもあって、現場にいると作業もやりたくなってしまうんですよね。大工さん達に『ちょっとやらして~』と、手伝わせて貰っているうちに、現場のこともいろいろ出来るようになっていきました。最終的にお客さんとの打ち合わせから引き渡しまで、全部一人で担当できるようになったんです。ある時お客さんから『私、野田さんの会社に行ったこともなければ、社長とも会ったこともないし、よくよく考えたら現場の職人さんと野田さんしか知らないよね?』と言われて、あれ?俺、全部自分で仕事出来てるやんって勘違いして、独立しよう!という気持ちがどんどん強くなっていきました」

建築業界に足を踏み入れ10年、独立へ

建築業界で営業マンから、現場監督、引き渡しまで経験された野田さんは、入社10年を迎えた頃、独立されました。
自分ならできる!と思い独立したものの、経営の知識はなく、仕入れも上手くいかず、当初は大変だったそうです。
そんななか、野田さんが特に力を入れられたのは会社のホームページの作成でした。



「2002年に10年務めた会社を退職して、2004年に屋号をあげました。 間の2年間は建設業許可が取れるまで出来る仕事が限られたので、前の会社の名刺と自分の名刺を持ちながら、フリーランスとして小さなウッドデッキ工事とかログハウスのメンテナンス等をし、その期間にお客さんに会社のことを知っていただくためのホームページを作りました」





※野田さんが建てられたログハウス(画像提供:野田さん)

「うちのホームぺージを見れば、ログハウスのことがすべて分かってもらえるサイトをつくろうと思い、マーケティングの勉強しながら頑張りました。そしたら、ヤフーの検索で一番上に出るようになって!その当時はまだ事務所もなくて、自分の家で電話とFAXとメールだけで始めてたんです。その状態でヤフーの検索上位にホームページが出るので、規模が大きい会社だと思われたのか『御社のカタログを送ってください』とか『今、御社の近くにいるんですけど、事務所が見つかりません』といった問い合わせが日本中から来るようになってしまいました。自分が求めるお客さんの層とマッチしない(逆に言うと、うちはお客さまが求めていない規模のログメーカー)方からの問い合わせが増えてしまい、お互いに望まない結果になってしまいました。」







※野田さんが作られたログハウス、小屋、丸太のソファー(画像提供:野田さん)

「これではあかんなと思って、『事務所もカタログもありません。出来るのは、今までの建築実績を見ていただくこと。ホームページに書いてあること以上の情報は受け取っていただけません』 そして、ご相談から引き渡しまで担当野田です!というスタイルを気に入ってくれる方に向けてホームページを作り直したんです。 顔をホームページに掲載するのは恥ずかしかったけど、先輩たちから『顔出さないと誰も信用してくれへんで』と言われて顔も載せるようにして、ブログも書いて僕の人柄をホームページを見ていただくことで、お問合せが増えました。それ以降はホームページ経由と、お施主さんからの紹介で、価値観の合うお客さんが来て下さるようになりました。ありがたいことです。
独立してから今年で18年。今は夢であるペンションをするまでの途中段階です。でも、今は建築の仕事が楽しいので、ペンションはもう少し先でもいいかなと思っているところです」」

森の中に自分だけの秘密基地

ウッドショックの影響により、現在はログハウスの建築はあまり行っていないという野田さん。
森の中に自分だけの秘密基地や静かになれる場所があったらいいな、と最近は小屋づくりに力を入れられているそうです。







「建築の仕事は、お客さんに喜んでいただく。ということに対しての満足度はとても高い仕事だと常々感じています。一方、お客さまの住まれる家なわけですから、僕の好きなようにプランニングするわけにはいきません。建築家って自分が考えたものを、考えたまま作りたいという夢もあるので、それを実現するために前からしたいと思っていた自分の小屋づくりをはじめました」







「タイニーハウス」という本が小屋づくりをしたいと思いはじめたきっかけです。実在する小屋の展開図が載っていて、ワクワクするんですよね。これらを見ながら、自分だったらどう暮らそうかな等、考えるのが、とても楽しい時間です。」





「この小屋は、上にロフトがあって、僕の家族5人で寝られるように作ってるんです。家族皆で小屋で過ごしたり、小屋の前で焚火したりして遊んでいます」









「実は、小屋の横には小さな野菜農園もあるんです。ロシアでは”ダーチャ”、ドイツでは”クラインガルテン”って呼ばれる、小屋と農園が一緒の土地にあって家庭菜園をする文化があるんです。自分の中では『自給自足ごっこ』と呼んでるんですけど、自分で作った作物を自分たちでいただくってすごい豊かなことやなと思うんです。今は、時期が終わりつつありますけど、オクラ、トマト、唐辛子とか色々な野菜作りをやってます。世界で一番辛い唐辛子”キャロライナ・リーパー”という唐辛子も育ててみたんですけど、辛すぎて家族の中で事件となったので来年は作らないと思いますが(笑)。あと、去年から日本蜜蜂を飼いはじめていて、蜂蜜がとれたらいいなと思っています。ミツバチって眺めてるとすごい癒されるんですよ」



取材にお伺いした小屋のある土地には、もうひとつ小屋が建っていました。







「フィンランドでは、森などの自然は誰でも自由に使ってもいいという権利(自然享受権)があるんです。そんな森の中には扉のないシェルターのような小屋があって、そこでピクニックを楽しんだり、焚火をしたり、泊まることも出来るんですね。この小屋はそれを参考にして作ったものです。さすがに扉は付けましたけど(笑)。ここに腰かけて、焚火にあたったり、料理したりして過ごしてます。ちなみにこの収納は、取り外して持ち運びも出来るように作って、気に入ってます」









「今後もいろんな小屋、その土地に合う小屋を作っていきたいと思っています。それらを見て、ご注文をいただけることを期待しつつ、完成した小屋(場所も含め)を借りたいと思って下さる方が居てくれたら、いい循環が出来るんじゃないかと考えています。
ただ心静かになりに来るとか、ただ本を読みに来るとか、何もしないをしてみるとか、焚火を一日みていたいとか...そう思う人がいるのではないかと思うんです。自分で土地買って建てるところまではする予定はないけど、体験をしてみたいって思う人たちに向けて小屋を借りてもらえる仕組みができたら、楽しいかなと考えています」







キャンプブームということもあり、週末だけの小屋暮らしや小屋に泊まることに憧れのある方も多いのではないでしょうか。
小屋での暮らしが気になる方はぜひ、野田さんのSNSやホームページをチェックしておいてくださいね♪
そんな野田さん、最近独立当初から思い描いていた夢が叶ったそうなんです。



「実は、独立した当時から小屋を作りたいと思っていたんです。看板もない小屋を事務所にして『ここ何屋さんですか?』ってふらっと入ってきたお客さんと、たわいもない話しをしているうちに『私にもこんな小屋作ってよ 』っていう感じの仕事のスタイルで生きれたら、かっこいいなと思ってたんですよね。
その妄想のことを最近は忘れてたんですけど、この前ここ(小屋の中のソファ)で僕が座ってスマホを触ってたら、ぴょこって通りがかりの奥さまが顔を出して『ここは何屋さんですか?』と、、そして『いつもここ通ってて、可愛いなって思ってて!実は私、小屋を建てたいと思ってるんです』って言われたんです。そして、僕がその小屋を建てさせてもらうことになりそうなんですけど、夢が現実になった!って、当時の妄想をふと思い出して感動しました。ここまで18年かかりましたけど、とても嬉しかったです」

不安定こそおもしろい

野田さんとお話しているなかで印象的だったは、野田さんにとって”ストレスはストレスではない”という言葉。





「独立してから、朝起きた時に嫌な気持ちで起きたことがないんです。大きな問題が起きると、もちろんストレスを感じることはあるんですけど、嫌な気持ちで目覚めたことが無いのは、やらされてる感がないからなのかなと思います。全部自分の責任で、自分の言葉で100%話せているからですかね。今まで殆どの問題は解決してきたという自負はあるので、今までにない問題が起こった時は、これをうまく解決できたら自分の力があがるかもって、違う角度から見て楽しんでます。僕にとってストレスはストレスではないというか、むしろストレスが無いとおもしろくない。自分は不安定な状態が楽しいと感じるタイプのようです。」

不安定な状態が楽しいと思えるのも、野田さんがどんな困難も乗り越えてこられたからですよね。
困難をマイナスなものと捉えず、自分が成長するために用意されたステップだと捉え方を変えることで、心の持ち方が変わるのかもしれません。
そんな野田さんが大切にされていることについて伺いました。





「自分の中に、生きていくうえで大事にしている言葉がいくつかあります。今の自分にとって大切なのは、『自由』『楽しむ』『チャレンジ』『言動を一致させる』『誠実』『自立・自律』『美しく』『感謝』『人の役に立つ』『より道』ですね。 その時々によって、大事なキーワードが変わることはありますが、これらの言葉は、他人がどう思うかは別にして、全て自分にとっての”楽しい”と”かっこいい”に繋がる言葉なんです。こういう言葉を口に出すのはなんだか恥ずかしいですが、この言葉たちを大切にしていれば、自分も周りも幸せな気持ちになれるんじゃないかと思ってます。」


いかがでしたか?
野田さんへの取材を通して、ただ本を読んだり、何もしないをしてみたり、焚火を1日眺めてみたり、とお気に入りが詰まった秘密基地のような小屋で自分を内省する時間を作れたら、心がとても豊かになるのではないかと感じました。
森の中での生活や、小屋での暮らしが気になる方は、ぜひ野田さんのSNSやホームページをご覧になってください♪


▼アトリエ・山林舎
所在地
〒520-0526 滋賀県大津市和邇中97-5 (倉庫兼打ち合わせスペース)
電話 075-200-1796
携帯 090-3923-5163
※個人経営ですので、基本的に昼間は現場です。お急ぎの方は携帯電話にお電話下さい。

HP:Instagram:http://www.sanrinsha.biz/
Instagram:https://www.instagram.com/takayukin_noda/
https://www.instagram.com/tiny_log_cabin/(ログハウス専用アカウント)
https://www.instagram.com/koya_builder/(小屋専用アカウント)

 

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