
Kirarioオリジナル伸長式ダイニングテーブル × ハーフアームダイニングチェア 2026年11月下旬発売予定
はじめに――家具づくりは、「色」からはじまった。
家具を選ぶとき、最初に目に飛び込んでくるのは何でしょうか。形、サイズ、素材、価格。もちろんそれらはすべて大切な要素です。でも、私たちがこのダイニングセットの開発を進めるなかで、何度も立ち返った問いがありました。
「この色じゃなきゃ、意味がない。」
北欧ナチュラルモダンをコンセプトに掲げるKirarioとして、これまで数多くのダイニングテーブルやチェアをご提案してきました。ナチュラルオーク、ウォールナット、ブラック……定番カラーを丁寧に展開しながらも、私たちの心の中には常に、ひとつの「空白」がありました。
それが、アンティークな赤みを帯びた木の色です。チーク材で作られたヴィンテージ家具が持つあの独特の深みと艶。時間をかけて育った木が纏う、赤褐色の落ち着き。新品なのにどこか懐かしく、現代的なのに歴史を感じさせる、あの色を。今回、私たちはその色に名前をつけました。

「アンティークレッド」。

第一章:アンティークレッドとは何か――色への、執念。
チーク家具が持つ「時間の色」を再現したい
インテリアに詳しい方なら、チーク材の家具が持つ独特の魅力をご存知でしょう。東南アジア原産のチーク材は、古くからヨーロッパのアンティーク家具や船舶の内装に使われてきた高級木材です。その最大の特徴は、年月とともに変化する色合い。新材のときは明るい黄褐色をしていたものが、時間をかけてゆっくりと深みのある赤褐色へと変化していきます。
アンティークショップに並ぶ、50年・100年前のチーク家具が持つあの色。赤みがかった深いブラウンに、木目が透けて見えるような艶。「高価で手が届きにくいけれど、あんな雰囲気の家具が欲しい」――そう思ったことはありませんか?
私たちも、長年そう思っていました。だからこそ今回、アッシュ無垢材という日本でも馴染みやすい素材を使いながら、チーク材のアンティーク家具が持つ風合いを塗装で再現することに挑戦しました。単なる「赤っぽいブラウン」ではなく、木目の深みを活かしながら、光の当たり方によって表情が変わる、そんな生きた色を目指したのです。
色のサンプルを何十枚も作った
「アンティークレッド」という色を確立するまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。最初のサンプルを見たとき、正直な感想は「赤すぎる」でした。インテリアに置いたとき、主張が強すぎて空間から浮いてしまう。かといって赤みを抑えると、ただのダークブラウンになってしまい、私たちが目指した「アンティーク感」が失われてしまう。
その微妙なバランスを探るために、何十枚ものカラーサンプルを作り、実際のインテリア空間で確認を繰り返しました。自然光の下で見たとき、電球色の照明の下で見たとき、蛍光灯の下で見たとき……それぞれで全く異なる表情を見せる木の色の奥深さに、何度も打ちのめされました。
そして、ある日の夕方、西日が差し込む空間でサンプルを確認したとき、「これだ」と思える色に出会いました。赤みの中に深みがあり、木目が透けて見えるような透明感があり、それでいて落ち着きを持っている。その色を塗装の配合として再現し、安定して量産できる工程を確立するまでに、さらに数ヶ月を要しました。

カラー違いだからこそ伝わること
今回のダイニングテーブルは、Kirarioで最も人気のある伸長式ダイニングテーブル Argu(アルグ)のカラー違いという位置づけです。サイズも素材の構成も変えず、ただ色だけを変える。それはある意味で、「色の力」への純粋な挑戦でした。同じ形・同じサイズなのに、色が変わるだけでこんなにも雰囲気が変わるのか――完成したアンティークレッドのテーブルを既存カラーと並べたとき、私たちは改めてその事実に感動しました。

第二章:伸長式ダイニングテーブル――機能と美の両立。
伸長式という選択肢の意味
現代の住まいは、かつてと比べてコンパクトになっています。特に都市部では、ダイニングスペースに大きなテーブルを置くことが難しいケースも多い。一方で、家族が集まったり友人を招いたりする場面では、もう少し広いテーブルが欲しくなる。そのジレンマを解決するのが、伸長式テーブルです。
普段使いの直径90cmから、ゲストを招くときの120cmまで、必要に応じてサイズを変えることができます。伸長前は2〜3名でのダイニングにちょうどよく、伸長後は4〜5名での食事も余裕を持って楽しめます。
スペック
伸長前:直径90cm・高さ72cm・脚間距離57cm
伸長後:直径120cm・高さ72cm・脚間距離57cm
素材:アッシュ無垢材・ウレタン塗装
カラー:アンティークレッド(新色)

アンティークレッドの天板が空間に与える効果
インテリアデザインの観点から言うと、赤みを帯びた木の色は空間に「温かみ」と「重心」をもたらします。特に白い壁や淡いグレーの床が多い日本の住宅において、アンティークレッドのダイニングテーブルはインテリアの「アクセント」として機能します。主張しすぎず、しかし確実に空間の中心に存在感を示す。そのバランス感こそが、アンティークレッドという色が目指したものです。
朝の自然光の下では明るく温かな赤褐色に、夜の電球色の照明の下では深みを増した落ち着いたトーンに変化する。食事のシーンによって異なる表情を見せるテーブルは、日々の暮らしをほんの少し豊かにしてくれるはずです。

第三章:ハーフアームダイニングチェア――三つのこだわり。
テーブルと同時に開発を進めたのが、専用設計のダイニングチェアです。アンティークレッドカラーで統一しながら、チェアとしての機能性と美しさを追求しました。開発において特にこだわったのは、以下の三つのポイントです。

こだわり①:テーブルに引っ掛けられる「ハーフアーム」仕様
ダイニングチェアにアームレスト(肘掛け)をつけると、テーブルの下に椅子をしまいにくくなる――これは多くのインテリアファンが感じてきた「あるある」の悩みです。フルアームのチェアは座り心地が良い反面、椅子をテーブルの下に収納できないため、椅子をしまうとき部屋が狭く見えたり、動線の邪魔になったりすることがあります。
この問題を解決するために採用したのが、ハーフアーム仕様です。肘掛けの先端部分が通常より短く設計されており、テーブルの天板下のエッジ部分に引っ掛けるように収納できるデザイン。椅子をテーブルに近づけた状態でも、肘掛けがテーブル下の幕板に干渉しないよう、高さと角度を精密に設計しています。これにより、食事の席を立ったあとも椅子をテーブルにすっきりと収めることができ、ダイニング全体がコンパクトにまとまります。

こだわり②:背もたれ・肘掛けの「流線形デザイン」
背もたれは、座った人の背中の形状に合わせた緩やかな曲面形状になっています。人間の背中のS字カーブに合わせた背もたれの形状は、長時間座っていても疲れにくい「背あたりの良さ」を生み出します。さらに、背もたれの取り付け角度にも徹底的にこだわりました。垂直すぎず、かといって後ろに倒れすぎない、食事に最適な後傾角度。背もたれの素材にはアッシュ無垢材を削り出した後、表面をR加工(角を丸める処理)することで、背中に当たる部分のエッジが滑らかになっています。
肘掛け部分のフォルムは、まるで彫刻作品のような有機的な曲線で構成されています。側面から見たとき、背もたれから流れるように延びた曲線が肘掛けへと続き、そこからすっと下に向かって脚部へとつながっていく。その一筆書きのようなシルエットは、北欧モダンデザインの巨匠たちへのオマージュでもあります。肘を置いたときに痛くならないよう、肘が当たる部分の曲面形状・角度・高さを徹底的に研究し、木の表面はウレタン塗装により滑らかに仕上げました。

こだわり③:ソファのような「11cmの座面厚み」
今回のチェアの座面厚みは11cm。一般的なダイニングチェアの座面厚みは5〜8cm程度が多いなか、この厚みにより、座った瞬間に感じる「やさしい包容力」はソファに近い感覚があります。採用したのは高密度の硬めウレタン。柔らかいウレタンは最初の座り心地はふかふかですが、長時間座ると底つき感が出て疲れてくる。硬めのウレタンは体重を均等に分散して支えるため、長時間座っても疲れにくい特性があります。11cmの厚みがあることで、硬めのウレタンでも「厚みによる包容感」は十分に得られます。
座面を覆うファブリックは、グレーのファブリック素材を採用。アンティークレッドの木材カラーと絶妙なコントラストを生み出し、温かみのある赤褐色の木部と、クールなグレーのファブリックの組み合わせは、「北欧モダン」というデザイン言語そのものです。
第四章:素材へのこだわり――アッシュ無垢材という選択。
なぜアッシュ無垢材なのか
今回のダイニングチェアに使用したのは、アッシュ(トネリコ)の無垢材です。アッシュはヨーロッパや北米に広く分布する広葉樹で、家具材としての歴史は長く、その使いやすさと美しさから「家具の王様」とも称されます。アッシュ材の最大の特徴は、木目の美しさ。まっすぐに走る力強い木目は、塗装を施したあとも透けて見え、木の生きた表情を楽しませてくれます。今回のアンティークレッドカラーの塗装との組み合わせでは、この木目の美しさが最大限に活きています。
硬度が高く耐久性に優れているのもアッシュ材の特徴です。また、無垢材であることは「経年変化を楽しめる」という意味でも重要。長年使い込むうちに、塗装の表面に自然なエイジングが生まれ、より深みのある表情へと変化していく。それは「物を大切に長く使う」という価値観とも共鳴します。
ウレタン塗装の役割
チェア・テーブルともに、表面仕上げにはウレタン塗装を採用しています。ウレタン塗装は木材の表面に薄い皮膜を形成し、水分・汚れ・キズから木材を守る機能的な塗装方法。ダイニング家具は、食事中の水分・油分・食べこぼしにさらされる環境です。ウレタン塗装により、日常的な使用で生じる汚れを拭き取りやすくなり、長期間にわたって美しさを保つことができます。

第五章:ダイニングセットとして見たとき――テーブルとチェアの「対話」。
色・形・素材の一体感
テーブルとハーフアームチェアを並べたとき、そこには完璧な一体感が生まれます。アンティークレッドカラーで統一された木部。同じアッシュ無垢材の一貫した質感。テーブルの丸みを帯びたフォルムと、チェアの流線形デザインが呼応するような有機的な曲線の共通言語。家具を「セットで揃える」ということは、単に色が揃うというだけではなく、素材の一貫性、デザインの文法の共有、そして「同じ時代・同じ場所で生まれた」という物語の統一感のすべてが揃ってはじめて完成形が生まれます。
空間に置いたときのイメージ
白い壁にナチュラルな木の床、淡いグレーのラグ。窓からは柔らかな自然光が差し込む、そんな空間。アンティークレッドのダイニングセットは、その空間の中で主役でありながら、空間全体の温かみを高める脇役でもあります。観葉植物のグリーン、リネン素材のカーテン、陶器の食器……北欧インテリアが好きな方が自然と選ぶアイテムたちと、驚くほど相性がいい。それがアンティークレッドという色の持つ懐の深さです。
第六章:開発を振り返って――私たちが家具作りに込めるもの。
「普通」を疑うことから生まれたデザイン
今回の開発を通じて改めて感じたことは、「当たり前」を疑うことの大切さです。ダイニングチェアにアームレストをつければ収納がしにくくなる――ハーフアーム設計はその「当たり前」を疑うことから生まれました。ダイニングチェアの座面はソファほど厚くなくていい――11cmという厚みへのこだわりは、その常識を覆す試みです。アンティーク調の家具はアンティーク素材でないと再現できない――アッシュ材にアンティークレッドの塗装を施すことで、その固定観念に挑戦しました。
職人との対話
今回のチェアのデザイン、特に背もたれと肘掛けの流線形を実際に木材で形にするプロセスは、職人との深い対話なしには実現できませんでした。どの方向から削れば目が立つか、曲面を出すためにどの加工順序が適切か、R加工の半径をどのくらいにすれば背中に当たったときに心地よいか……そのすべてを、職人と何度も試作を繰り返しながら決めていきました。一つひとつの工程に職人の目と手と判断が入ることで、デザイン画が「生きた家具」へと変わっていく。その過程は、私たちにとっても毎回新鮮な学びの連続です。
第七章:発売に向けて――2026年11月下旬、お楽しみに。
伸長式ダイニングテーブル(アンティークレッド)およびハーフアームダイニングチェア(アンティークレッド)は、2026年11月下旬の発売を予定しています。具体的な発売日・価格については、準備が整い次第、本ブログおよびSNS(Instagram)にてご案内いたします。先行お知らせを希望される方は、ぜひフォローをお願いします。
おわりに
「アンティークレッド」という色と、それを体現したダイニングテーブル&チェアの開発ストーリーをお伝えしてきました。色への執念、機能美の追求、素材へのリスペクト、職人との対話。そのすべてが詰まった一組のダイニングセットが、今秋、みなさんのもとへ届く準備を進めています。
家具は、買って終わりではありません。日々の暮らしの中で使われ、時間を重ね、少しずつ変化していく。そしてその変化が、「この家具を買って良かった」という実感を積み重ねていく。アンティークレッドのダイニングセットが、みなさんの食卓に、暮らしに、そして人生に、そっと寄り添える存在になれることを願っています。
発売まで、もう少しだけお待ちください。
Kirarioチーム一同
発売情報・詳細スペックは公式サイト・SNSにて随時更新いたします。