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訪れた人の心を温かく、

そして穏やかにしてくれる「市電カフェ」

キラリオインテリアの山岡です。

「市電」という言葉や電車を知っている人は、もう少なくなっていると思いますが、昭和初期の高度経済成長期に全国の都市部には路面電車が交通の要として、通学や通勤に使われていました。

私たちキラリオのある京都にも、昭和初期から60年ほど市民の交通網として京都市内を運行していましたが、市バスや地下鉄網の整備により1978年に「市電」は廃線となり、私たちの生活から姿を消した歴史があります。

少し話は変わりますが、京都駅から西へ行ったところにある「梅小路公園」。
梅小路公園とは、面積が約13.7ヘクタールという大きな都市公園です。
公園内には、広々とした「芝生広場」や水と親しめる「河原遊び場」や、京都市初の本格的な水族館『京都水族館』、日本最大級の鉄道博物館『京都鉄道博物館』があったりと、市民の憩いの場となり、県外や外国から多くの方が訪れる場所となっています。

今回ご紹介するのは、その梅小路公園の中ある、昭和に実際に市内を走っていた「市電」をそのまま活かして利用されている「市電カフェ」さんです。


市電カフェ


「市電カフェ」が生まれたのは、約5年半ほど前のこと。
梅小路公園の再整備プロジェクトを京都市が進めていた中で、プロモーション事業を中心として活動していた株式会社エーゲルが昔ながらの市電を生かしたカフェの運営を提案し、誕生したのが「市電カフェ」。


市電カフェ


今回、お話をお伺いしたのは「市電カフェ」の立ち上げから参画されている安里寛子(アサト ヒロコ)様。
実際に走っていた電車を探してくるところから始まり、車内のレイアウトや飾りつけに至るまで、自分たちでできるところはすべて手作りしたそうです。


市電カフェ


市電カフェ


市電カフェ

大正生まれの「505」号。
1970年に廃線になるまでは、京都市内を走っていました。
当時は通勤や通学に利用していた方も多数おられました。


市電カフェ


市電カフェ


路面電車が4両置かれているのですが、その中の1両が市電カフェになっています。
2両は休憩スペースとなっており、誰でも自由に休憩することができます。
休憩スペースの車両は昔の状態のままで、まるでタイムスリップしたように当時の感覚を味わうことができます。


市電カフェ

鉄道車両の出力・速度を遠隔制御するスイッチ装置であり、運転台に設置されているマスコンも当時のまんま。


市電カフェ

当時を偲ばせるかのように、ビューゲルも上がった状態で展示されています。


市電カフェ


安里様が大切にしている言葉は、「一期一会」。
市電カフェを訪れた人たちにワクワクしてもらいたい。
「来てよかったね」「楽しかったね」と、振り返った時、思い出として輝くひと時を提供したい。
それは、昔のままの市電を見ての感動から、その空間、メニューの楽しさも含めて。

なので、メニュー開発もテーマは「ワクワク」。


市電カフェ


市電カフェ

市電カフェの看板メニュー、「カタカタつりわパン」!
食べられるつり革として、SNSなどでも話題になっています。
実際、電車の上に吊られて販売されているところがまた、ワクワクポイントですよね。


市電カフェ

自家栽培して育てたしその葉を使って作った「しそジュース」。
爽やかな風味とさっぱりした口当たりが、暑い夏にピッタリです!


市電カフェ


安里様が、これまでで一番「一期一会」を感じたエピソードを伺いました。

それは、オープン当初のこと。
車いすに乗ったおじいさんと、そのご家族の方が一緒に市電カフェに遊びに来て下さった時のことです。
お話を伺うと、その車いすに乗ったおじいさんは昔、市電の車掌さんだったそうで、ニュースで市電カフェのオープンを見て家族で行ってみようかというお話になったそう。
そんな他愛のないお話を家族の方としていたその時!
車椅子に座るのもやっとという状態にもかかわらず、おじいさんは自力でその場で立ち上がろうとされ、左右を指差ししながら一生懸命に、なにかを口にされていたのです。
まるで「出発進行!」と言うかのように・・・。

その姿を見て、ご家族の方は涙を流したと言います。

きっと当時の記憶が蘇り、心を動かしたばかりではなく、身体をも当時のように突き動かしたのでしょう。


市電カフェ


市電カフェ


おじいさんのように、実際に触れていた昔を想い出して、当時の自分をフラッシュバックさせる人もいれば、市電が街中を走っていたことなんて知らない世代の方が、当時に想いを馳せてレトロな空間を愉しむ方もいるでしょう。

市電カフェに出会ったすべての人が、何か心に残って帰っていただくことが安里さんの目標。
だから、これからもずっと、ワクワクを欠かさない市電カフェとして走り続けるのです。



<市電カフェ>
〒600-8835
京都府京都市下京区観喜寺町56-3 505号車 梅小路公園
TEL:075-352-2500
【営業時間】
10:00〜18:00
定休日:年中無休

 

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