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文豪も愛した老舗名店「嵯峨豆腐 森嘉」

先週のキラリオマガジンでは、色づく嵐山の紅葉をご紹介させていただきましたが、今回は紅葉を愛でながら是非味わっていただきたい京都名物をご紹介します。

江戸の後期である安政年間(1854年〜1860年)の創業以来、手作り豆腐にこだわり続ける「嵯峨豆腐 森嘉(もりか)」さん。
天龍寺をはじめとする嵯峨・嵐山周辺の寺院や料理屋さん、旅館など名だたる名店が森嘉さんのお豆腐を使った料理を提供されています。そのやわらかさは、「箸にもかからん」と揶揄されたほど。
長年にわたって愛され続ける美味しさの秘密に迫ってきましたので、是非ご覧ください。



文豪も愛した老舗の名店「嵯峨豆腐 森嘉」。









京福電鉄「嵐山駅」から徒歩15分。清涼寺のすぐ左隣にある嵯峨豆腐 森嘉は昔ながらの街の豆腐屋さんで、店の奥で作った豆腐を店頭で販売するスタイルになっています。9:00オープンの開店前にはいつも、すでに数人のお客様が並んで待っていらっしゃるほどの人気老舗店です。

嵯峨豆腐は、絹ごし豆腐と木綿豆腐のちょうど中間的な存在で、絹ごし豆腐のようななめらかさと木綿豆腐のようなコシの両方が掛け合わされた魅力を持ちます。

安政年間に創業してから、川端康成の「古都」で主人公の千重子が父親に持っていたお土産として森嘉の豆腐が登場したり、司馬遼太郎の「街道をゆく」で森嘉の豆腐を食べた後に「日本文化を食っている気がしてくる」と感嘆している描写が描かれたことで人気を博していきます。











店頭で注文をすると、まさに出来上がったばかりの豆腐を取り出して梱包してくれます。大豆が炊きあがるいい香りの漂う店頭からは、製造過程を垣間見ることができちゃうんです。



すまし粉を使うことで出来上がる、なめらかでおいしい絶品豆腐。











今回お話を聞かせて下さったのは、6代目である森井邦夫さん。
北海道大学で理学部の道に進むも、相手が見えない中で研究に没頭するよりも目の前のお客様に喜んでいただけるものを提供できる仕事に就きたい、と家業を継ぐべく京都に帰ってこられました。

嵯峨豆腐が今のようにやわらかい豆腐になったのは実は戦後の頃であり、森井さんの祖父が考案されたものなのだとか。
豆腐は、大豆を炊き上げることで分離して抽出される豆乳に、凝固剤としてにがりを加えることによって作られるのが一般的です。しかし、このにがりが第二次世界大戦中に軍需物資として調達されたことがきっかけで不足状態となり、代わりの凝固剤として森嘉が使用したのが当時の中国製法で用いられていた「すまし粉」でした。すまし粉は石膏から作られる硫酸カルシウムのことで、にがりは大豆タンパクだけ固めるのに対して、すまし粉は大豆タンパクと水分を一緒に固めるため、なめらかでやわらかい舌触りに仕上げることができるのです。

こうして誕生した嵯峨豆腐は、そのなめらかなおいしさが評判となって広く全国に知れ渡ることとなります。








1日に1500〜2000丁も売り上げるという嵯峨豆腐。大豆は3種類の大豆を厳選、ブレンドして作られています。
甘みがありながらも、その余韻を残しすぎない「淡い味わい」が特長です。
大豆は同じ産地と言えどもその年の気候等に味が左右されます。収穫されたものを確認し、品質や量、味の見合うものだけを厳選します。「嵯峨豆腐」の味を守り続けるために、実は毎年試行錯誤が行われているのです。




豆腐を作るにあたって、大豆と同様に重要な存在なのが「水」。森嘉では敷地内の地下からくみ上げる湧き水を使用しています。このように水道管を分けることによって、製造工程には湧き水だけが使用される仕組みになっているのです、






森嘉の看板商品のひとつ、飛龍頭(ひろうす)。独自の製法で練り上げたふっくら生地に、大豆、人参、牛蒡、木耳、黒ゴマ、麻の実、山の芋、銀杏、ユリ根といった多彩な食感の具材をぎっしり詰めて揚げたもの。銀杏やユリ根は、年中冷凍ものは使用せずに生のものだけを使用しています。
中身はふっくら。表面はカリッカリ。揚げたてを味わえるのは店頭販売ならでは。嵐山散策中にお土産として購入される方も多いそうです。








外は香ばしく、中身はお豆腐に近い滑らかさを持つ厚揚げ。これからの季節はおでんの具材としていただきたいですよね!コトコトと炊けば、しっとりと出汁の味が染みて絶品の一品になります。




いかがでしたか?
森井さん曰く、「豆腐は生ものであり、作り手によって味が変わるおもしろいもの」。同じ「豆腐」とは言え多種多様な違いがあるものなので、是非いろいろな豆腐を味わって自分好みのものを探してみてくださいね♪

<嵯峨豆腐 森嘉(さがとうふ もりか)>
〒616-8447
京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42
TEL:075-872-3955
【営業時間】
9:00〜17:00
定休日:毎週水曜日(火曜日定休あり)
※水曜日が祝日の場合、翌日の木曜日が定休日になります。


http://sagatofu-morika.co.jp/


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