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農家と消費者をつなぐ。

無農薬栽培・音吹畑。

天台宗総本山の比叡山の麓に広がる京都・大原は、「三千院」や「宝泉院」でも有名な自然豊かな場所です。意外にも地下鉄「国際会館」駅から車で15分と京都市街地から近いため、地元で育てられた野菜や特産品であるしば漬けを求めて訪れる方も多くいらっしゃいます。

今回は、そんな大原で農薬・化成肥料を使用しない栽培方法で年間約70種類の野菜とハーブを栽培していらっしゃる「音吹畑(おとふくばたけ)」さんをご紹介したいと思います。

自然が奏でる音に耳を傾けることができる、穏やかな心を忘れずに。



お話を聞かせてくださったのは、代表である高田潤一朗さん。「音吹畑」では野菜作りを担当されており、奥様である深雪さんがハーブの栽培や加工品全般を担当されています。

「音吹畑」とは、穏やかな気持ちを忘れずに、見失わないように生きていこうという想いで名付けられました。
虫の声、風の音、雨のリズムなど、自然が奏でる音に限らず日常に溢れる音にふと気づくとき、心のありようはとても穏やかです。自然が奏でる音を聞き、豊かな、開放的な、満たされ、すべてを許し優しくなれるような瞬間を大切に、見失わないように生きていこう、そんな想いが「音吹畑」には込められているのです。


心地よい暮らしとの出会い。





高田さんが農業を始めたのは、奇跡のような出会いがきっかけでした。
大学を卒業後、企業に勤めるも今ひとつ夢中になれず。たまたま訪れた青森県の恐山でバスを待っていた時、何気なく会話をした農家さんに「暇してるなら、一度農業してみない?」と、誘われたのです。

思い切って足を踏み入れてみた農家での暮らしは、畑でその日食べる食材を収穫しては、また畑を耕すというまさに自給自足そのもの。
自分は社会で生きていくには弱すぎると感じていた高田さんにとって、自然の摂理に従いながら穏やかに暮らす農家での毎日は、とても心地よいものだったと言います。






土のついた状態でもわかるほど、艶やかで肌の美しいかぶ。
見るからに美味しそうですよね!






音吹畑では、ビニールハウス等を使わずすべて屋外の畑で栽培する「露地栽培」にて、農薬・化成肥料を使用しない農法を用いています。
そのために注力しているのが「土壌づくり」。農薬・化成肥料を使用せずに野菜を育てるためには、肥えた土が必要です。肥えた土にはミミズ等の微生物が生息し、彼らが適度に働くための餌として肥料を与えます。それは、「野菜をつくる」のではなく、「野菜をつくる環境をつくる」という根本から取り組む必要があると感じているが故なのです。


理想と現実による葛藤。





青森での農業体験の後、西日本や大分でさらに農業の修行をつみ、晴れて京都・大原で就農をスタートさせた高田さんですが、当初抱いていた農業のイメージと現実とのギャップに葛藤を覚えます。

例えば、獣害について。
イノシシや鹿は、時に畑を荒らし農家の暮らしを脅かす存在です。「それでも生き物なんだから殺処分なんてもってのほか!」という意見も確かにそうですが、生きることさえままならなくなる状況で、そんなことが言えるのか?!という正直な感情をもってしまうこともあります。

高田さんは、こういった問題は、本当は農家だけの問題ではなく都会に住む人たちとも共有し、一緒に考えていくべきことだと考えるようになります。見えないもの・見たくないものに蓋をするのではなく、農家と消費者の間にある乖離を埋め、一緒に様々な問題に向き合ったり、協力し合えたりできれば、いくつかある社会問題を少しずつでも解決できるのではないか、と。


農家と消費者をつなぐ。



音吹畑は、先週ご紹介した「大原ふれあい朝市」に出店しています。
ここで直接消費者の方たちと接点がもてることは、高田さんにとって大きな刺激であり魅力的な環境なのだとか。

毎日野菜とだけ向き合っていると、深く潜りすぎて思考に偏りが生じてしまいます。朝市でお客様から「美味しかった」と言われて喜びを覚えたり、逆に「この前の野菜はあんまり良くなかったよ」と指摘されて栽培方法を振り返ったり。消費者の感覚を定期的に知ることで、自身の感覚をチューニングできるのです。
その中で農家が感じている現実を伝えたり、双方のすり合わせを行うことで農家と消費者をつなぐ存在になっていけたら、と願っています。





いかがでしたか?
音吹畑は、随時畑の見学も受付中とのこと。興味のある方はHPのお問い合わせから連絡してみてくださいね♪


<音吹畑>
〒601-1244
京都府京都市左京区大原上野町252-1

http://otofukubatake.com/


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